SpaceX IPOを投資家向けにわかりやすく解説|日本人がIPOに参加する方法

SpaceX IPOを投資家向けにわかりやすく解説|日本人がIPOに参加する方法

SpaceXが、Class A普通株式の新規株式公開(IPO)に向けたロードショーを開始しました。今回のIPOでは、SpaceXの株式がNasdaqおよびNasdaq Texasに「SPCX」のティッカーで上場申請されており、想定公開価格は1株あたり135ドルとされています。募集株数は5億5,555万5,555株で、追加売出し枠として最大8,333万3,333株のオーバーアロットメントも設定されています。

SpaceX IPOの基本情報

項目 内容
発行会社 Space Exploration Technologies Corp.
上場予定市場 Nasdaq / Nasdaq Texas
ティッカー SPCX
株式種類 Class A普通株式
公開予定株数 555,555,555株
追加売出し枠 最大83,333,333株
想定公開価格 1株135ドル
価格決定予定日 2026年6月11日
主幹事 Goldman Sachs、Morgan Stanley、BofA Securities、Citigroup、J.P. Morganなど
資金使途 AI計算基盤、打ち上げ設備・ロケット、衛星コンステレーションの拡張など

ロードショー資料では、調達資金の使途として、AIコンピュートインフラの拡張、打ち上げインフラや打ち上げ機の強化、衛星コンステレーションの規模・容量拡大、その他一般的な事業目的が挙げられています。つまり、今回のIPOは単なる宇宙企業の上場ではなく、「宇宙・通信・AI」をまとめて拡大するための成長資金調達という位置づけです。

SpaceXはどんな会社か

SpaceX

SpaceXは、ロケットや宇宙船の開発・製造・打ち上げ・運用を行う企業として知られていますが、今回の資料では自社を「Space」「Connectivity」「AI」の3領域を統合するインフラ企業として位置づけています。宇宙事業では再利用ロケットによる打ち上げ、通信事業ではStarlink、AI事業ではGrokやXのリアルタイムデータを活用したAI基盤が柱です。

宇宙事業:再利用ロケットが競争力の源泉

宇宙事業 SpaceX

SpaceXの宇宙事業の強みは、Falcon 9などの再利用ロケットによって打ち上げコストを下げ、高頻度の打ち上げを可能にしている点です。ロードショー資料では、再利用によって打ち上げコスト、打ち上げ頻度、信頼性、環境負荷の面で優位性があると説明されています。

顧客事例としては、衛星通信事業者SESとの関係が紹介されています。SESは2013年にFalcon 9で商業衛星を打ち上げた初期顧客であり、2017年には再使用ブースターによる商業衛星打ち上げにも関わりました。SpaceXとSESは19回のミッションを成功させており、再利用モデルの実績を示す事例になっています。

通信事業:Starlinkが収益成長の中心

Starlink SpaceX

SpaceXの中でも投資家が特に注目しやすいのが、衛星インターネットサービスのStarlinkです。ファクトシートでは、2026年3月31日時点でStarlink加入者数は約1,030万人、サービス提供国・地域は164、Starlink衛星は9,600基以上とされています。

通信事業は、航空機、農業機械、クルーズ船などにも広がっています。United Airlinesの事例では、Starlink搭載機が344機、Starlink搭載機の利用旅客数が700万人以上、Wi-Fi満足度が2倍になったとされています。John Deereの事例では、農地の通信圏外問題を解決するためにStarlinkを農業機械へ導入し、8,000キットを農家へ配布、設置時間は2時間未満とされています。

AI事業:SpaceXの新しい成長テーマ

AI事業 SpaceX

今回のIPO資料で目を引くのが、SpaceXがAI事業を明確に成長の柱として打ち出している点です。ファクトシートでは、AI事業について、主要モデルリリースが4回、月間アクティブユーザーが約5.5億人、X上の1日あたり投稿数が約3.5億件、AI計算基盤の名目消費電力が1GW超と示されています。

フレックスポートの事例では、Grokを物流プラットフォームに統合し、リアルタイム翻訳やプラットフォーム全体の多言語化に活用していると説明されています。英語に依存しがちな国際物流において、現地語でのやり取りを可能にすることで、連絡ミスや業務遅延の削減を狙う内容です。

業績面:売上は成長、ただし利益は投資負担が重い

SpaceXの2025年売上高は187億ドルで、前年比33%成長とされています。一方で、2025年の純損益は49億ドルの赤字、2026年第1四半期も43億ドルの赤字です。Adjusted EBITDAは2023年の38億ドル、2024年の54億ドル、2025年の66億ドルと拡大していますが、GAAPベースでは大きな投資負担が残っている点には注意が必要です。

年度 売上高 純損益 Adjusted EBITDA
2023年 ▲46億ドル 38億ドル
2024年 8億ドル 54億ドル
2025年 187億ドル ▲49億ドル 66億ドル
2026年Q1 ▲43億ドル 11億ドル

セグメント別では、Connectivity、つまりStarlink関連事業が非常に重要です。通信事業の売上は2023年の39億ドルから2025年には114億ドルへ拡大し、Adjusted EBITDAも2023年の16億ドルから2025年には72億ドルへ伸びています。SpaceX全体の成長ストーリーを見るうえでは、ロケット企業というより「Starlinkを持つ宇宙インフラ企業」と見るほうが実態に近いかもしれません。

投資家が見るべき強み

投資家が見るべき強み SpaceX

SpaceXの最大の強みは、ロケット、衛星、通信サービス、AI計算基盤を自社で垂直統合している点です。打ち上げコストを下げ、自社衛星を大量展開し、その通信網やデータ基盤をAIにも活用する流れは、他社が簡単に再現しにくい構造です。ファクトシートでも、打ち上げサービスでのグローバルリーダーシップ、衛星・通信プラットフォーム、リアルタイムデータを活用するAI、垂直統合によるスピードとコスト効率が競争優位として挙げられています。

投資リスク:夢は大きいが、前提もかなり大きい

一方で、SpaceX IPOはかなり成長期待の大きい投資案件です。S-1では、Class A普通株式への投資には高いリスクがあると明記されており、Starshipの開発遅延や打ち上げ頻度・再利用性・性能の未達が、次世代衛星、衛星直接通信、軌道上AIコンピュートなどの成長戦略に悪影響を与える可能性が示されています。

また、AI事業はまだ投資先行の段階です。2025年のAI Segment Adjusted EBITDAは12億ドルの赤字で、前年の3億ドル黒字から悪化しています。これは初期段階の開発と長期成長投資を反映したものと説明されていますが、投資家から見ると、AI事業が将来的にどれだけ収益化できるかは重要な確認ポイントです。

日本国内ではみずほ証券・楽天証券・SBI証券で取り扱い

SpaceXのIPOは、日本国内では主に「みずほ証券」「楽天証券」「SBI証券」で取り扱いが案内されています。銘柄コードは「SPCX」、上場予定市場は米国NASDAQおよびNASDAQ Texasです。

仮条件は1株あたり135米ドルです。ただし、証券会社ごとに申込期間、決済方法、NISA対応、抽選方式、資金準備のルールが異なります。申し込みを検討する場合は、各社の最新情報と目論見書を必ず確認しておきましょう。

国内取り扱い証券会社の比較

証券会社 申込期間 申込単位 仮条件 決済方法 NISA対応 主な特徴
みずほ証券 2026年6月12日予定 1株 135米ドル 要確認 要確認 外国株式銘柄はネット倶楽部の抽選参加サービス対象外
楽天証券 2026年6月5日〜6月12日6:00 1株 135米ドル 円貨決済のみ NISA成長投資枠に対応 IPO購入時の購入手数料0円、為替手数料0銭
SBI証券 2026年6月5日〜6月11日10:59 1株 135米ドル 米ドル決済のみ NISA成長投資枠に対応 SBIハイパー預金残高10万円以上で追加抽選対象

みずほ証券

みずほ証券では、SpaceXのClass A普通株式について、銘柄コード「SPCX」として案内されています。上場市場は「米国ナスダック」および「米国ナスダックテキサス」です。

項目 内容
証券会社 みずほ証券
銘柄コード SPCX
上場市場 米国ナスダック、米国ナスダックテキサス
申込期間 2026年6月12日予定
申込単位 1株
仮条件 135米ドル
発行・売出価格等決定日 2026年6月12日
抽選参加サービス 外国株式銘柄は対象外

みずほ証券で注意したい点は、外国株式銘柄についてはネット倶楽部の抽選参加サービス対象外とされていることです。通常の国内IPOのように、ネットから抽選参加サービスへ申し込む形式とは異なる可能性があります。

  • 外国証券取引口座の開設が必要です。
  • 外国株式のため、為替相場の変動によって損失が生じる可能性があります。
  • 申し込み方法は、取引店またはコールセンターで確認しておくと安心です。
  • 日程は変更される可能性があるため、最新情報の確認が必要です。

楽天証券

楽天証券では、SpaceXのブックビルディング申込受付を2026年6月5日から6月12日6:00まで実施すると案内されています。楽天証券の大きな特徴は、日本円で購入できる「円貨決済のみ」という点です。

項目 内容
証券会社 楽天証券
銘柄コード SPCX
上場予定日 2026年6月12日
申込期間 2026年6月5日〜6月12日6:00
申込単位 1株
仮条件 135米ドル
決済方法 円貨決済のみ
購入時手数料 0円
IPO購入時の為替手数料 0銭
対象口座区分 NISA成長投資枠、特定口座、一般口座
抽選結果発表 2026年6月12日9:30頃

楽天証券では、米ドルを事前に用意する必要がないため、米国株IPOに慣れていない投資家にとっては申し込みやすい仕様です。ただし、上場後に円貨決済で売買する場合は、通常の為替手数料がかかります。

  • 当選した場合、購入取消をしなければ自動的に購入されます。
  • 抽選日に必要資金が不足している場合は、その範囲内の株数で抽選されます。
  • 上場後の円貨決済による売買では、通常の為替手数料が発生します。
  • 申込はPCウェブから行う形式とされています。

SBI証券

SBI証券では、同社初の米国株式IPOとしてSpaceXの購入申込みを受け付けています。SBI証券の最大の注意点は、米ドル決済のみであることです。

項目 内容
証券会社 SBI証券
銘柄コード SPCX
上場予定日 2026年6月12日
申込期間 2026年6月5日〜6月11日10:59
申込単位 1株
仮条件 135米ドル
決済方法 米ドル決済のみ
購入資金の準備期限 2026年6月11日15:00までに米ドル買付余力へ反映
対象口座区分 NISA成長投資枠、特定口座、一般口座
抽選結果通知 2026年6月11日20:00以降に順次通知
購入辞退期間 2026年6月12日の条件決定後〜12:59まで
IPOチャレンジポイント 対象外

SBI証券では、円貨決済では申し込みできません。購入申込期間最終日の2026年6月11日15:00までに、購入に必要な金額が米ドルの買付余力に反映されている必要があります。

  • 外国株式取引口座の開設が必要です。
  • 米ドル決済のみのため、事前に米ドルを準備する必要があります。
  • 購入申込後、当選または補欠当選した場合は、購入辞退をしない限り自動的に購入処理が行われます。
  • 公開価格が仮条件を上回る可能性があるため、余裕を持った米ドル資金を用意しておく必要があります。
  • NISA預りを希望しても、NISA投資可能枠が不足する場合は特定口座または一般口座での約定となる可能性があります。

SBIハイパー預金による追加抽選

SBI証券では、2026年6月10日23:59時点でSBIハイパー預金残高が10万円以上ある場合、当選・補欠当選とならなかった人を対象に追加抽選が行われます。

項目 内容
対象条件 2026年6月10日23:59時点でSBIハイパー預金残高10万円以上
追加抽選の対象者 通常抽選で当選・補欠当選とならなかった人
追加抽選の規模 SBI証券での販売全体のおおよそ1%〜10%の件数
注意点 SpaceXの購入申込み自体は米ドル決済のみで、SBIハイパー預金の円貨買付余力は利用不可

SBIハイパー預金の条件は当選確率アップのための追加抽選に関係しますが、SpaceX株の購入代金には米ドルが必要です。SBIハイパー預金の残高だけでは購入資金として使えない点に注意しましょう。

3社の違いで特に重要なポイント

比較項目 みずほ証券 楽天証券 SBI証券
申込期間 2026年6月12日予定 2026年6月5日〜6月12日6:00 2026年6月5日〜6月11日10:59
申込単位 1株 1株 1株
決済方法 要確認 円貨決済のみ 米ドル決済のみ
購入時手数料 購入対価のみ 0円 0円
為替手数料 為替レートに含まれる可能性あり IPO購入時は0銭 リアルタイム為替取引では為替手数料なし。ただしスプレッドあり
NISA対応 要確認 NISA成長投資枠に対応 NISA成長投資枠に対応
抽選・配分 外国株式は抽選参加サービス対象外 抽選あり 抽選あり。SBIハイパー預金条件で追加抽選あり
購入辞退・取消 要確認 当選後、所定時間まで購入取消可能 条件決定後、2026年6月12日12:59まで購入辞退可能

申し込み前に確認したいポイント

SpaceX IPOは通常の国内IPOとは仕組みが異なります。特に、申し込み後に当選すると自動購入となる証券会社もあるため、申込後のスケジュール管理が重要です。

  • 自分の証券口座でSpaceX IPOの取り扱いがあるか
  • 申込期間に間に合うか
  • 決済方法が円貨決済か米ドル決済か
  • 申込株数に対して必要資金を用意できるか
  • NISA成長投資枠で申し込むか、特定口座で申し込むか
  • 当選後に自動購入される仕組みか
  • 購入辞退や購入取消の期限はいつか
  • 外国株式取引口座の開設が必要か
  • 為替手数料やスプレッドがどのように発生するか
  • 上場後にいつから売買できるか

SpaceX IPOの時価総額は人気上場企業と比べても世界トップ級

SpaceXがIPO価格135ドルで上場した場合、想定時価総額は約1.75兆ドル規模になります。これは、上場直後から世界の人気大型株と並ぶ水準です。特に注目したいのは、SpaceXの想定時価総額がMetaやTeslaを上回り、Broadcomに近い水準になる点です。一方で、NVIDIA、Apple、Alphabet、Microsoft、Amazonといった超大型テック企業にはまだ届かない位置づけです。2026年6月6日時点。

人気上場企業との時価総額比較

順位イメージ 企業名 時価総額の目安 SpaceX IPOとの比較
1 NVIDIA 約5.01兆ドル 約2.9倍
2 Apple 約4.59兆ドル 約2.6倍
3 Alphabet / Google 約4.46兆ドル 約2.5倍
4 Microsoft 約3.11兆ドル 約1.8倍
5 Amazon 約2.70兆ドル 約1.5倍
6 Broadcom 約1.90兆ドル やや大きい
7 SpaceX 約1.75兆ドル IPO時点で世界トップ級
8 Meta 約1.50兆ドル 下回る
9 Tesla 約1.39兆ドル 下回る

NVIDIAの時価総額は約5.01兆ドル、Appleは約4.59兆ドル、Alphabetは約4.46兆ドル、Microsoftは約3.11兆ドル、Amazonは約2.70兆ドルです。SpaceXの約1.75兆ドルという想定時価総額は、これらの超巨大企業には届かないものの、MetaやTeslaを上回る規模になります。

まとめ:SpaceX IPOは「宇宙株」ではなく巨大インフラ株として見るべき

SpaceXのIPOは、単にロケット開発企業へ投資する案件ではありません。実態としては、再利用ロケットによる打ち上げ能力、Starlinkによる衛星通信網、GrokやXを含むAI・データ基盤を組み合わせた、次世代インフラ企業への投資です。

魅力は、Starlinkの成長性、垂直統合によるコスト優位、宇宙・通信・AIを横断する巨大な市場機会にあります。一方で、Starshipの開発、衛星網の拡張、AI計算基盤への大型投資、規制対応、GAAPベースでの赤字など、リスクも大きい案件です。

投資家としては、「SpaceXだから買う」ではなく、公開価格135ドルに対して、Starlinkの収益成長、AI事業の赤字縮小、Starshipの商用化、上場後の株式需給をどこまで織り込めるかを冷静に見る必要があります。夢の大きさは間違いなくトップクラスですが、IPO直後は期待先行で値動きが荒くなる可能性もあるため、目論見書を確認したうえで、余裕資金の範囲で判断するのが現実的です。

※本記事は提供資料をもとにした情報整理であり、特定銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断は必ず最新の目論見書、証券会社の案内、リスク情報を確認したうえで行ってください。

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