高市早苗首相 補正予算通過 定数削減法案難航

高市早苗首相率いる政権は、物価高対策を柱とする補正予算案を衆院で通過させ、成立の見通しを固めました。一方、自民党と日本維新の会が提出した衆院議員定数削減法案は野党の反対や自民党内反発で審議が進まず、成立が厳しい状況です。また、首相は米経済誌フォーブスが選ぶ世界のパワフルな女性3位に名を連ね、駐日米大使から祝福を受けました。

政治

補正予算案の衆院通過

高市早苗首相の補正予算案は衆院予算委員会で可決され、同日中に本会議で通過しました。一般会計の歳出は18兆3034億円となり、物価高対策として子育て世帯への支援を重視しています。首相は集中審議で、特に物価高の影響を強く受けている子育て世帯を力強く支援すると強調しました。与党に加え、公明党と国民民主党が賛成に回り、参院での審議を経て16日にも成立する見通しです。公明党の斉藤鉄夫代表は党会合で、子供1人あたり2万円の給付など同党の提案が反映された点を挙げ、賛成の理由を説明しました。一方、立憲民主党は反対の姿勢を崩さず、野党の足並みが揃わない状況となりました。

議員定数削減法案の停滞

自民党と日本維新の会が共同提出した衆院議員定数削減法案は、野党の反対により委員会審議入りすらできていません。自民党内からも反発の声が上がり、公明党も慎重な姿勢を示しています。日本維新の会の藤田共同代表は、嫌な議論を先送りする国会に不満を表明しました。法案成立は今国会で極めて厳しく、衆院議長の下に設置された選挙制度協議会での議論に移る可能性があります。与野党の議席数が拮抗する中、高市政権にとって不安要素となっています。

高市首相の国際評価

米経済誌フォーブスが発表した世界で最もパワフルな女性100人ランキングで、高市早苗首相が3位に選出されました。駐日米大使のグラス氏は自身の投稿で、強く有能で信頼できる友人だと祝福しました。木原官房長官もこの選出を歓迎し、首相の勉強熱心で政策に通じた点を挙げ、維新との連立合意に寄与したと評価しています。自民党の麻生太郎副総裁は、石破茂前政権を「どよーんとした感じ」と批判し、高市政権の発足で明るくなったと語りました。

経済

年収の壁引き上げ検討

自民党は、年収の壁を2026年に168万円へ引き上げる検討案をまとめました。物価上昇率を基に算出されたもので、国民民主党が求める178万円には届きませんが、26年度税制改正大綱の取りまとめに向け最終調整に入ります。週内にも自民党と国民民主党の再協議が行われ、合意の成否が注目されます。この措置は、労働者の就労意欲を高める狙いがあります。

NISA制度の拡大

令和8年度税制改正大枠として、少額投資非課税制度(NISA)の対象を18歳未満に拡大し、非課税保有総額の上限を600万円とすることが決まりました。政府・与党案は超富裕層への課税強化も含み、大綱の取りまとめに向けています。若年層の資産形成を促進する内容です。

外交・安全保障

武器輸出三原則の緩和進展

武器輸出三原則は佐藤内閣時の表明から徐々に緩和が進んでいます。日本維新の会が積極的で、自民党は公明党に配慮しつつ対応しています。ウクライナなど侵略を受ける国への防衛装備品輸出を検討すべきとの意見も出ています。防衛産業にとっては販路拡大の追い風ですが、人材確保や海外企業との競争が課題です。