フィスコ相場操縦と税制改正動向 金融市場の最新事例

証券取引等監視委員会は、暗号資産の発行業者フィスコが自社発行の仮想通貨価格を不正につり上げていたとして、開示違反で課徴金納付を勧告しました。また、政府・与党は超富裕層への追加課税対象を所得30億円から引き下げて拡大する方向で調整に入っています。国際的には、国際通貨基金がステーブルコインの拡大に通貨代替のリスクを指摘しています。これらの動きが金融市場に与える影響が注目されます。

国内金融規制

フィスコの仮想通貨相場操縦

証券取引等監視委員会は、暗号資産の発行業者であるフィスコが、自社で発行する仮想通貨の価格を不正につり上げていたとして、開示違反の疑いで課徴金納付を勧告しました。フィスコは自社仮想通貨であるフィスココインを発行しており、元経営陣が取引を通じて価格を操作していました。これにより価格が上昇したものの、その後の下落で評価損が発生していましたが、有価証券報告書への計上を怠っていました。このような行為は投資家保護の観点から問題視されています。監視委員会の発表は、金融商品取引法に基づくもので、市場の公正性を確保するための措置です。フィスコ側はこれを受け、対応を検討しています。

税制改正の動き

超富裕層追加課税の対象拡大

政府・与党は、2026年度の税制改正で超富裕層への追加課税の対象を拡大する方向で調整しています。現行では所得30億円以上が対象ですが、これを引き下げて適用範囲を広げる案です。この制度は高所得者に対する追加の税負担を課すもので、所得格差の是正を図る狙いがあります。特に「1億円の壁」と呼ばれる所得水準での負担増を緩和する観点も含まれています。与党内の議論では、具体的な引き下げ幅について慎重な検討が進められています。この改正は、財政健全化と公平な負担配分を目的としています。

防衛費財源としての所得増税

政府・与党は、防衛費の増額に充てる財源として所得税の増税を2027年から実施する方向で検討に入りました。防衛費拡大のための新たな財源確保策として位置づけられており、国民負担の増大が予想されます。この検討は、2026年度税制改正に関連するもので、具体的な税率引き上げ幅や対象範囲が議論されています。防衛力強化の必要性と財政負担のバランスが課題です。与党は関係省庁と協議を進め、詳細を詰めています。

国際金融動向

IMFのステーブルコイン警告

国際通貨基金は、ステーブルコインの急拡大が通貨代替を引き起こし、中央銀行のコントロールを弱めるリスクを警告しました。ステーブルコインの97%が米ドルに連動しており、特にアフリカ、中東、南米での利用が急速に増えています。基金は、デジタル資産を法定通貨として使用することを禁止すべきと提言しています。一方、米財務長官は、ステーブルコインの需要が米国債の資金調達を支えていると指摘しました。このような動きは、新興国通貨制度と先進国金融構造に影響を及ぼしています。国際的な協力が求められています。

Terra Labs創業者への求刑

米検察は、Terra Labsの共同創業者ド・クォン被告に対し、懲役12年を求刑しました。2022年のTerraUSD崩壊を「巨大な詐欺」と認定し、これがFTXの破綻など仮想通貨市場全体の連鎖崩壊を招いたと指摘しています。判決は12月11日に予定されています。この事件は、仮想通貨業界の信頼性に大きな打撃を与えました。検察側は被告の責任を厳しく追及しています。