ビットコイン94,000ドル更新 機関投資家参入拡大

ビットコインが94,000ドルを突破する一方、主要金融機関による暗号資産の取り扱いが活発化しています。チャールズ・シュワブがビットコインとイーサリアムの取引提供を発表し、ブラックロックのビットコインETFオプションが活発な取引を記録。仮想通貨ETFへの資金流入も反転し、米国経済指標では雇用減速と債務利払い負担の増大が確認されます。これらの動きは市場の関心を集めています。

暗号資産市場

ビットコイン価格の回復とネットワーク価値

ビットコインは94,000ドルを突破し、直近の安値から5%程度反発して推移しています。市場は連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定を前に様子見の様相を呈しており、先物市場では次回会合での25ベーシスポイント利下げの確率が約90%に達しています。また、メトカーフの法則に基づくネットワーク価値モデルでは、ビットコインの現在価格が適正価値を下回っており、過去の類似事例ではその後12カ月で平均132%の上昇を記録したケースが96%を占めています。このモデルはユーザー数や取引規模を基に価値を算出するもので、短期的な割安感を示唆します。こうした背景から、市場参加者の注目が集まっています。

イーサリアム「フサカ」アップグレードの完了

イーサリアムの「フサカ」アップグレードが実施され、レイヤー2ネットワークの取引手数料削減が実現しました。このハードフォークは2025年の2回目の更新にあたり、ネットワークの効率化を図るものです。アップグレード後、イーサリアム価格は堅調に推移しており、ビットコインに次ぐ資金流入を背景に市場での存在感を強めています。一方、トレジャリーモデル採用企業によるイーサリアム購入量は11月に前月比81%減の37万ETHにとどまり、勢いの減速が指摘されています。こうした技術進化は、長期的なスケーラビリティ向上につながる可能性があります。

金融機関の暗号資産対応

チャールズ・シュワブと大手銀行の取引計画

資産運用規模12兆ドルのチャールズ・シュワブが、2026年初頭にビットコインとイーサリアムの取引サービスを開始すると発表しました。また、コインベースのブライアン・アームストロング最高経営責任者は、複数の大手銀行がステーブルコイン、資産保管、取引に関する暗号資産の実証実験を同社と共同で進めていると述べています。ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者は、自身のビットコインに対する初期の見解が誤りだったと認め、資産トークン化の有用性を強調。バンク・オブ・アメリカも資産アドバイザーに対し、ビットコインへの最大4%配分を許可しています。これらの動きは、伝統金融と暗号資産の融合を加速させています。

ETFオプションと資金流入の動向

項目 資金流入額(米ドル)
ビットコインETF(先週) +4億6,100万
イーサリアムETF(先週) +3億800万
全体仮想通貨ファンド(先週) +11億

ブラックロックのビットコインETFオプションが市場で5番目に活発な取引となり、アマゾンを上回りました。先週の仮想通貨ETF全体では11億ドルの資金流入を記録し、過去7週間で最大規模です。これに対し、直近4週間では47億ドルの流出が続いていましたが、反転の兆しが見られます。米国が9億9,400万ドルの流入を主導し、カナダとスイスも追随。一方、ビットコインショートETPからは19億ドルの流出が発生し、強気勢の優位を示しています。こうした資金動向は、市場の上昇モメンタム回復を裏付けています。

米国経済指標

ADP民間雇用と利下げ観測

ADP社が発表した11月の米民間雇用者数は3万2,000人減と、市場予想の1万人増を大幅に下回りました。この弱含みは雇用減速を鮮明にし、景気後退リスクを高めています。FRBに対する追加利下げ圧力が強まっており、次回会合での政策変更が注目されます。ブラックロックは米国家債務の拡大が暗号資産採用を加速させると指摘しており、こうした経済環境が金融市場全体に影響を及ぼしています。

公的債務の利払い負担増大

米政府の国債利払い費用は、直近12カ月で1兆2,400億ドルに達し、史上最高を更新しました。税収1ドル当たり24セントを占め、4年でほぼ倍増。10月単月では1,044億ドルの記録を樹立し、政府支出の2番目に位置づけられています。防衛費や医療費を上回る規模で、社会保障に次ぐ水準です。この負担増は、低金利環境の必要性を強調するもので、財政政策の行方を左右する要因となっています。