バンガード仮想通貨ETF解禁で市場アクセス拡大の兆し

米投資大手バンガードがビットコインやイーサリアムなどを主に保有する上場投資信託の取引を解禁します。これまで暗号資産商品の取り扱いを避けてきた方針を転換し、個人投資家の参加が広がる可能性があります。一方、ビットコイン価格は下落基調を強め、MicroStrategyの保有状況も注目を集めています。伝統市場ではS&P500連動ETFに巨額資金が流入し、金や銀の価格も上昇しています。

仮想通貨市場

バンガードのETF取引解禁

バンガードはビットコイン、イーサリアム、XRP、ソラナなどを主に保有するETFや投資信託の取引を許可します。これまで暗号資産関連商品の取り扱いを制限してきた同社は、規制要件を満たす商品に限定し、自社での新商品開発は行いません。また、ミームコイン関連ファンドは除外されます。この変更により、伝統的な投資プラットフォームを通じた暗号資産へのアクセスが容易になり、個人投資家の参入が増えると見られます。ビットコイン市場ではこうした動きが追い風として位置づけられています。一方で、市場全体では流動性の薄さから急変動が発生しやすく、投資家心理に影響を与えています。

ビットコイン価格の下落要因

ビットコイン価格は一時8万3000ドル台まで下落し、8万4000ドルや8万5000ドルを割り込む場面が見られました。借り入れを伴うポジション約10億ドル相当が強制清算され、下げが加速したほか、円キャリー取引の巻き戻し観測がリスク資産全体を圧迫しています。また、アジア地域の要因として日銀のタカ派姿勢や中国の景気指標の弱さが指摘されます。過去24時間で8億ドル相当のロングポジションが清算され、仮想通貨関連株も下落しました。Coinbaseは5.2%、MARA Holdingsは7.7%安などです。DeFiプラットフォームYearn Financeでのインシデントも市場の不安を助長しています。

MicroStrategyのビットコイン戦略

MicroStrategyは130ビットコインを約1170万ドルで取得し、保有総額を65万ビットコインに到達させました。平均取得単価は約7万4436ドルです。同社は14.4億ドルの準備金を確保し、優先株配当と利払いを12カ月分カバーします。一方、同社株は時価総額45億ドルに対し、ビットコイン保有価値が55億ドルを超え、ネットで上回る状況です。株価は本日7%以上下落し、10月以降55%安となっています。mNAV(市場純資産価値)割れ時の売却可能性が懸念され、市場のボラティリティを高めています。

伝統金融市場

S&P500 ETFへの資金流入

VanguardのS&P500連動ETFは11月に208億ドルの純流入を記録し、過去4年で2番目の規模となりました。5カ月連続流入で、年初来は1240億ドル超です。2023年以降、純流出は1カ月のみです。投資家が米大型株に記録的な資金を投じています。また、仮想通貨ETP全体では10.7億ドルの流入があり、ビットコインに4.64億ドル、イーサリアムに3.09億ドル、XRPに過去最高の2.89億ドルが入りました。米利下げ期待が資金回帰を後押ししています。

商品市場

金・銀価格の上昇

国内金価格は1カ月ぶりの最高値を更新し、1グラム2万3383円となりました。米利下げ観測が安全資産需要を高めています。銀価格は史上初の1オンス58ドルに到達し、2025年上昇率は100%を超え、S&P500の6倍以上のパフォーマンスです。貴金属市場の強さが、インフレ懸念や地政学リスクを反映しています。チェコ国立銀行総裁は、外貨準備の2.5%をビットコインETFに振り向けると米国株比率引き上げ並みのリターンが得られると指摘しています。