ビットコイン下落加速と金銀高騰 市場変動の最新動向

ビットコイン価格が85,000ドルを割り込む下落を見せ、仮想通貨市場に警戒感が広がっています。一方、Strategy社が追加で130ビットコインを取得し保有総額を拡大する動きがあり、企業による蓄積が続いています。また、金価格が1カ月ぶりの最高値を更新し、銀価格も史上初の58ドル台に到達するなど、貴金属市場で上昇圧力が高まっています。日銀の利上げ観測や暗号資産税制の変更調整も市場に影響を与えています。

仮想通貨市場

ビットコイン価格の急落要因

ビットコイン価格は一時85,000ドルを下回る水準まで下落しました。この動きは、アジア地域からのショック要因として日銀のタカ派的姿勢や中国の景気指標の弱含みが指摘されています。また、Strategy社が市場純資産価値(mNAV)の下落時にビットコイン売却の可能性を示唆した点が投資家の不安を増幅させました。一方で、米国での量的引き締め(QT)終了や利下げ期待の高まり、ETFへの資金流入転換といった支援材料も存在します。市場参加者は、直近安値水準の維持に注目が集まっています。流動性の薄さとレバレッジポジションの積み上がりも、下落の連鎖を助長する構造的な要因として挙げられます。こうした背景から、仮想通貨全体のボラティリティが高まっています。

Strategy社のビットコイン追加取得

Strategy社は約1,170万ドルを投じて130ビットコインを取得し、1ビットコインあたり約89,960ドルでの平均取得価格となりました。これにより、同社のビットコイン保有総数は650,000枚に達し、総取得額は約483.8億ドル、平均取得単価は1ビットコインあたり約74,436ドルです。この積極的な買い増しは、企業によるビットコイン蓄積戦略の継続を示しており、市場では長期保有志向の強まりを象徴する動きとして受け止められています。保有拡大が価格下落局面でも進む点は、機関投資家の信頼を裏付けるものです。

ETP資金流入の回復

仮想通貨関連のETP(上場投資商品)には、4週間の資金流出に転じて10.7億ドルの流入が確認されました。これは、FOMCメンバーからの利下げ期待発言が寄与しています。ビットコインに4.64億ドル、イーサリアムに3.09億ドル、XRPに過去最高の2.89億ドルが流入し、主要銘柄への資金回帰が進みました。こうした動きは、市場センチメントの改善を示唆しており、短期的な底堅さを支える可能性があります。

貴金属市場

金価格の最高値更新

国内の金小売価格は1グラムあたり2万3383円となり、前週末比289円(1.3%)の上昇を記録しました。これは約1カ月ぶりの最高値です。米国の利下げ観測が安全資産としての需要を後押ししており、国際的な価格上昇トレンドに連動しています。金はインフレヘッジや地政学リスク回避の観点から、投資家の注目を集め続けています。

銀価格の史上最高値到達

銀価格は1オンスあたり58ドルに急騰し、史上初めてこの水準を突破しました。今年の上昇率は100%を超え、S&P500の6倍以上のパフォーマンスを達成しています。貴金属市場全体の強含みの中で、銀の産業需要や投機的な買いが相乗効果を発揮しています。市場アナリストは、こうした動きを今後の経済動向の先行指標として位置づけています。

金融政策と税制

暗号資産所得の分離課税調整

政府・与党は、暗号資産取引による所得に対して一律20%の分離課税を導入する方向で調整に入りました。現在は最大55%の税率が適用される総合課税から、株式や投資信託と同水準へ移行します。この変更は、投資環境の整備を目的としており、市場参加者の税負担軽減につながる見込みです。来年度の税制改正での実現が注目されます。

日銀利上げ観測の高まり

日銀総裁の発言から、12月の利上げ可能性が市場で指摘されています。ドル円相場が155〜160円台にある中でのタカ派的トーンが、ビットコインをはじめとしたリスク資産の下落圧力となっています。政策決定会合での具体的な言及が、為替や株式市場に波及影響を与えています。