パラマウントのワーナー買収、州独占禁止訴訟でクロージング凍結

Paramount Skydanceは2026年2月、Warner Bros. Discoveryを1株31ドルの現金で買収する確定契約を結び、株主承認と米司法省の調査終了まで進みました。一方、カリフォルニア州など12州とWriters Guild of Americaの独占禁止訴訟を受け、当事者は本案裁判の終了後5日または2027年6月1日のいずれか早い日まで取引を完了しないと合意しており、結合は未了です。連邦・海外の規制クリアと支配権の移転は別問題であり、スタジオと配信事業の行方が2027年の審理と凍結合意にかかっている点が重要です。
確定契約、株主承認、連邦調査の終了
Paramount SkydanceとWarner Bros. Discoveryは、、ParamountがWBDの発行済み株式すべてを1株あたり現金31ドルで買収する確定合併契約を締結したと発表しました。出典はParamount Skydanceです。当時は2026年第3四半期のクロージングを見込んでいました。共同発表は「Paramount will pay $31.00 per share in cash for all outstanding shares of WBD. The transaction has been unanimously approved by the Boards of Directors of both companies and is expected to close in Q3 2026」と述べています。
これは、対価が全額現金であること、両社取締役会が全会一致で承認したこと、当時の完了想定が2026年第3四半期だったことを示す説明です。企業価値は調査上およそ1100億ドルと整理されています。
その前日の、The New York Timesによると、NetflixはParamountの引き上げ提案に対し自社提案を上げず、ワーナー買収から撤退しました。共同最高経営責任者のTed Sarandos氏とGreg Peters氏は「the deal is no longer financially attractive」と述べました。これは、提案がもはや財務面で魅力的ではないという説明です。
Associated Pressは、WBD株主が1株31ドルでの売却を圧倒的多数で承認したと報じました。資料「Warner Bros shareholders approve Paramount’s $81 billion takeover of the Hollywood giant」は、株主総会での承認を扱っています。見出しの810億ドルはAssociated Pressの表記であり、後述のVarietyが用いる1110億ドルや、企業価値として整理される約1100億ドルとは定義が異なるため、差額や変化幅としては使いません。
U.S. Department of Justiceの反トラスト局は、合併調査を終了し、サブスクリプション型動画配信、リニアテレビ、劇場用映画の競争を害する可能性は低いと判断したと公表しました。The Hollywood Reporterは、Paramountの説明として「68 countries have now signed off on the mega-merger」と伝えました。これは、必要とされた規制クリアランスについて約68カ国が署名したという報道です。連邦と多数の外国規制は、会社側の主張としては充足段階に入っています。
州訴訟とクロージングの凍結
残る中核の障害は、カリフォルニア州など12州の司法長官連合とWriters Guild of Americaによる独占禁止訴訟です。Varietyは、当事者が本案裁判の終了後5日または2027年6月1日のいずれか早い日まで取引を完了しないと合意したと報じました。同報道は「agreeing not to close the $111 billion transaction until five days after a trial is held or June 1, 2027, whichever is earlier」と記しています。これは、連邦地裁の一時差止めを経て、クロージング自体を裁判終了まで凍結する取り決めです。ここでの1110億ドルはVarietyの表記です。
CNNは、判事Araceli Martínez-Olguín氏の日程として「the trial will begin March 2 and run for 12 court days」と伝えました。本案審理はに始まり、12開廷日の予定です。規制当局のクリア後も、取引は商業的には契約・株主承認済み、法的にはクロージング未了のままです。
これとは別系統の手続として、Law360は、デラウェア衡平法裁判所がParamount株主による買収差止めを求める派生訴訟の迅速審理請求を却下したと報じました。州側の独占禁止訴訟が消えたわけではなく、Paramount株主側の別訴が急ぎでは進まない、という事実に限ります。
遅延コスト、反対材料、切替条件
事実として確認できるのは、連邦調査の終了、株主承認、会社側が主張する約68法域のクリア、そして州訴訟に基づく凍結合意です。分析として重要なのは、これらを「完了が近い」と同一視できない点です。短期では2027年3月の審理と判決の内容が支配権移転の可否を決め、長期では結合が認められた場合のスタジオ・配信の再編と、禁じられた場合の現状維持が分岐します。
反対材料は明確です。州側が勝訴すれば合併は禁止され、期限内にスタジオと配信の支配権を取得する主体がいなくなる余地があります。凍結合意の最遅は2027年6月1日で、判決がそれより遅れれば合意上はクロージング可能になる一方、勝訴差止めが残れば完了できません。調査上、はティッキング対価の起算日と整理されています。遅延が資金負担と株主圧力を高める、という契約上の圧力は指摘されていますが、手数料の詳細は公式確認が十分ではなく、金額を断定しません。
日本との関連では、劇場公開、配信、ゲーム向け知的財産(ハリー・ポッター、DCなど)や、競合スタジオを含むハリウッド再編として関心が持たれます。国内企業の個別損益への定量的な波及は、本調査では確認できません。投資判断や政策的な是非を示すものではありません。
市場参加者の見方
市場の質問は「No listed company closes Warner Bros acquisition by June 30, 2027」です。2027年6月30日までに上場企業がWarner Bros. Discoveryのスタジオ・配信事業の支配権を取得しない、という条件を扱います。時点の価格は約16.5%で、客観的な発生確率ではなく市場参加者の見方です。
判定期限は2027年6月30日午後11時59分(東部時間)です。未確定の発表やリニアテレビのみの取引は対象外で、スタジオ・配信事業の支配権移転が必要です。観測時点のスプレッドは5ポイントでした。凍結合意の期限だけで完了を判断せず、差止めの有無と実際の支配権移転を確認する必要があります。
参考情報
- Paramount Skydance Corporation and Warner Bros. Discovery, Inc.…(2026-02-27)
- U.S. Department of Justice:Statement of the Department of Justice…(2026-06-12)
- The New York Times:Netflix Backs Out of Bid for Warner Bros.,…(2026-02-26)
- Associated Press:Warner Bros shareholders approve Paramount's $81…(2026-04-23)
- The Hollywood Reporter:Paramount Says It Secured All Global…(2026-08-14)
- Variety:Paramount Agrees to Postpone Warner Bros. Merger Until…(2026-07-24)
- CNN:Paramount–WBD judge sets March 2027 trial date for antitrust…(2026-08-04)
- Variety:Paramount Skydance has agreed to postpone its…(2026-07-24T19:51:41Z)
- Roger Parloff:In the antitrust cases challenging the…(2026-08-31T17:23:47Z)
- Law360:The Delaware Chancery Court on Thursday denied a…(2026-09-04T03:00:01Z)
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